飛鳥〜2003.10.04〜 晴れ



今回は東海自然歩道から離れて、秋の明日香村へ。
明日香村は言わずとしれた、飛鳥時代の古墳や遺跡で有名。
また、秋ともなれば彼岸花と稲穂の美しさで人気です(なんだかパンフの写しみたいな言葉ですが・・・)。
また、今は万葉文化館にて漫画家、里中満智子・山岸涼子展が開催されています。
猿石 どちらも飛鳥時代を題材にした漫画を書いておられるから、との事で、里中さんの作品を読んでいたみりんと私、ぜひ行こうという話になりました。

近鉄八木駅にてみりんと合流。
橿原神宮にて電車を乗り換え、10時頃飛鳥駅にて下車。
駅前では名物(?)レンタサイクルの勧誘が激しい。
飛鳥は結構遺跡とかが離れているので自転車を借りて回る人が多い。
はるか前、中学時代に来た時は借りましたが、今回は徒歩で行く事に。
まずはみりんが大好きな猿石を見に行きました。
吉備姫墓内にあるのですが、来る人は墓を見る、というよりはやっぱり猿石を見る方がメイン。
ちなみに4体あってうち3体は裏にも顔があるんだそう(柵があって裏には回れないので見た事ないですが)。

そこからてくてく歩いて鬼の雪隠・鬼の俎(まないた)へ。
この間約10分ほど。
雪隠は道を挟んで南側、俎は北側にあります。
鬼の雪隠 鬼の俎でここを通りがかった旅人を料理して食べ、雪隠(今で言うトイレ)で用を足したと言われています。
しかし本当は7世紀頃の終末期古墳の石室の一部。
底石、蓋石、扉石の3個の石を組み合わせた石室だったのが、外れて(壊れて?)底石はその場に残って俎、蓋石の方は今の場所に移動して雪隠と呼ばれるようになりました。
で、扉石は?(笑)

鬼コンビを後にして中学校の横を通り、さらに歩く。
次なるご対面は亀石。
かわいい顔で有名な亀石。条里の境を示すのに利用されたとも言われてるけども本来の目的は謎。
心が和みますねぇ。
とは言うものの、亀石にはちょっと物騒な言い伝えが。
実は人知れず向いてる方向を変える事があって、西を向いた時には大洪水が起きると言われている。
でもさすがに治水がちゃんと行われている、大河のない今の飛鳥ではちょっと考えられないですけどね。
亀石 猿石や鬼コンビ付近ではぽつぽつだった観光客の数が、この亀石付近ではちょっと多い目。
亀石前は細いあぜ道みたくなってるので、レンタサイクルで来る人は歩行者を避け、止める時もちゃんと邪魔にならないよう気をつけて欲しい所。

亀石近くの橘寺は素通りして、万葉文化館へ向けて進路をやや北向きにとる。ちなみに石舞台へ向かうなら亀石からみるとやや南東。
細い道を歩いていくと、左手(西側)に石畳のようになった遺跡がある。
ここは飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)と言い、645年、蘇我入鹿が暗殺された場所。大化の改新ですね。
それまでと違って屋根が板葺きだったからこの名前になったそう。
実は何度か飛鳥には来た事あるくせにここは初訪問。
写真の部分は復元されてる「大井戸」。ちょっと広い公園という感じですね。

板蓋宮を後にして、少し広い車道に出る。そこからまた少し道をそれて山の中へ。
と言っても住宅地のすぐ裏の丘。この中に酒船石がある。
大きな岩に楕円や直線できれいな模様が描かれている。
酒をしぼる槽(ふね)とも、あるいは油や薬を作るための道具ともいわれているけども、この場所から東側で水を引く土管や石桶が見つかってる事から庭園の施設だという見方も強まっているそうな。

酒船石のある小山を降りるとすぐ横が万葉文化館。
駐車場には車がいっぱいだが、文化館付近は人がほとんどいない。少し嫌な予感・・・。
板蓋宮 何はともあれ中に入る。
2年前に出来たばかりとあってさすがに中はキレイ。
チケット売り場に3人の受付嬢。多くないだろうか・・・。人も全然いてないし・・・。
しかもここ常設展は600円、特別展は400円で別料金。高い。
特別展は結構良かった。というか、里中さんの原画を目の当たりに出来るのが嬉しい。やはり印刷と、実際の色はかなり違う。筆のタッチとかも。その丁寧さに感動。
もう一人の山岸さんは正直・・・?て感じ。
元から興味がないというのもあるけどもどうもいまいち。
特別展を見終えて常設展へ。
これがもうびっくりした。
だだっ広い空間に壁際に絵が飾られてるんだけど、全然知らない画家だし、正直万葉となんの関係が?と言う題材が多い。
空間を贅沢に使いすぎていてもったいない。というか、逆に「がらん」という印象。
そのくせ色んな所に係員らしき人がいて、人件費の無駄じゃないかと。だってうにとみりん以外人いなかったし。
さすが県立の施設。すでに失敗状態。
地下にも展示室があるんだけど、コンセプトが中途半端で伝わらない。
地下特別展示室には「建設敷地の文化財発掘調査で明らかにされた、飛鳥池工房遺跡の発掘成果を時代背景などとともに展示」とあるが、半分以上が模造品、レプリカ。
一般展示室は「歌」をテーマに万葉の人の人形がそこかしこに設置され、当時の様子などが再現されたり、画面で解説がされてたりするけどもこれも中途半端。
ここも人影はまばらで寂しい。
600円は間違いなくぼり過ぎです。見ててムカついたもん。これで600円?!って。

万葉文化館を出て、庭で昼食。
結構広大な庭園があって、そこは入場自由なのでお昼を食べてる人もぽつぽついてました。
実はこの庭、うにが前の職場にいた時に仕事できた事があって、うにが植えた木等が植わっている。
その中で一番大きなものをみりんに見せようと思って行ってみると、なんと木がなくなっていた・・・。
周りの苦労してたてた杭は残ってるけど、木自体は根本付近から切られてなくなっていました。
ショック・・・。あの時の苦労はなんだったんだ・・・。
失意のまま文化館を出ると、ちょうど裏手が飛鳥寺。
飛鳥大仏飛鳥寺は蘇我馬子が排仏派の物部守屋を倒した翌年に発願し、596年に完成した日本最古の本格的寺院。
が、建物自体は何二回焼失されているので飛鳥時代のものではない。
中にある飛鳥大仏も日本最古と言われているが、同じく二度火災に遭ってるので原形をとどめているのは、右手中央の三指、眼元、それに左耳だけらしい。
ここは本堂に入るとおじいさんがガイドしてくれる。半分強要。
東大寺の大仏などと比べると、比較しようがないくらい小さいんだけど、それは日本最古なだけに当時は巨大に見えただろうな。

飛鳥寺を出て、田んぼの中のあぜ道をてくてく。
ちょうど稲刈り前で稲穂と彼岸花がかなりキレイ。
・・・って、稲刈り遅くないのかな?こんなものでしたっけ?冷夏のせい?
今度は少し遠いけども石舞台まで歩く。
石舞台周辺はさすがに人が多い。車も多い。
そしてそこで初めて見ました。なんと白い彼岸花!
彼岸花といえば赤。関西では間違いなく赤いですよね?でも白いんですよ。びっくりしました。
でも調べてみると九州とかでは白いのが多くて、白い方が当たり前なんだって。知らなかったよ。
でもうにとしては初体験。ちょっとびっくりでした。
さて、気を取り直して石舞台。
あぁ、石舞台だー。
白い彼岸花 以上(笑)。
いやいや、あそこはいつ行っても変わらないですよね。変わっててもびっくりだけどさ。
とりあえずあの時代にあの大きさの石を積み上げてるというのがすごい。南側の天井の岩は約75t。恐るべしです。
そして石室内には定点ガイド、いわゆるその場にずっといてガイドしてくれるボランティアの方がいて、丁寧に解説してくれていました。
こういうのってなんだか得した気分になりますよね。嬉しいです。

最初はこれくらいで帰る予定でしたが、万葉文化館の本屋さんでガイドを見ていた所、石舞台の奥に日本の棚田百選に選ばれた稲渕棚田があるというのを発見。
稲穂がきれいなこの時期に行けば、かなりいい景色が見られるのでは、と言う事で足を伸ばす事に。
飛鳥に何度となく足を運んだみりんも石舞台の奥に行くのは初めてとの事。
確かにメインからは少し離れる。ちなみにうには前の仕事で少し奥までなら行きました。でも棚田までは行ってない。
石舞台から先少し行くとそれまでと違って歩道がなく、車道もやや狭いため、車に気をつけて歩く。
途中、橋があって、山の方へ向かう道と、橋を渡って棚田の方へ行く道に分かれる。
しかしこの辺り、路駐が死ぬほど多い!!
まぁ、飛鳥なんかを車で回ろうとすると各所各所で駐車料金を取られるからそれがイヤなんだろうけど、それにしてもひどい。
きれいな景色も台無しです。
うにの10円玉クラッシュがうなるってもんです(イヤ、それも犯罪)。
気を取り直して景色に目をやると、ここもすごく田んぼがキレイ。
橋の上から川越しに山の斜面を見ると、今まで「彼岸花だー♪」って写真を撮ってたのがバカかと思えるほど。
さらに先へ進んでいくと稲渕棚田に到着。
さっき以上の美しさ。
もう言葉では言い表せません。
今までこんなにきれいな田んぼを見た事はありません。
さすがに撮影スポットなのか、今まで以上にゴツイカメラを持った人がシャッター押しまくっていました
にしてもすごい。
思うんだけど、こういう景色って、今まで田舎に住んだわけでも、祖父母が田舎に住んでいたワケでもないのにすごく「郷愁」を感じますよね。なんでなんだろう。日本人の原風景ってヤツでしょうか。

稲渕棚田かなりの時間風景を楽しんだ後、すなおに石舞台方面から帰ればいいのに、山越えして飛鳥駅へと戻るルートをとる。
いやいや、地図上ではこっちの方が近かったんですって。
棚田の横を通る道を進み、太い車道の隅っこを歩く。
途中、一応分岐点に道しるべがあるのでそれに従って進む。
でもこの辺りになると見るものもないし時間も時間だし(4時前後)人の姿がほとんどない。
車道からはずれて二人歩くと道幅いっぱいになるような道を進んでいくと、やっと高松塚古墳に到着。
飛鳥美人などの壁画で有名でしたが、今はその壁画をむしばむカビで有名ですね。嬉しくないけど。
早く対策を立てて欲しいものです。
時間も遅かったし、以前見た事もあるので高松塚古墳は素通り。飛鳥駅へ。
ちょうど5時頃に電車に乗って帰途につきました。
飛鳥の感想としては「やっぱりいい」。秋に来るのは最高です。大好きです。ほっこりできる。
京都と奈良は古都として並び称されるけど、全然味わいポイントが違うと思います。
ぞっちが好きかは人それぞれだと思うけども。
奈良の方が古くさくて、親しみやすくて安心できますよね。京都は洗練されてて優美だったりするんだけど、そのせいで近寄りがたい雰囲気を持っていたりするし。
どっちも好きなんですけどね。やっぱり奈良在住の身としては奈良に旗揚げたい。
飛鳥ではあまりに嬉しくて写真撮りすぎてしまいました。今回のページ、重たかったでしょうか?ごめんなさい。


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